西表島の人と自然と神々

西表島には4000年以上前から人々の暮らしがあります。 東南アジアの島々から海流にのり西表島に辿り着き定着したのが私たちの最も古い先祖です。 そしてシャコ貝で道具を創る「貝斧文化」を残しました。 貝斧文化は石垣島、宮古島まで北上します。

1500年八重山の島々は琉球王国の仲間入りをしてから琉球文化、大和文化、南蛮文化など北からの様々の文化が入ってきました。 西表島に住み着いた我々の祖先たちは西表島の自然の恵みにいついつまでも生かされるさまざまの「知恵」を伝えてきました。 この唄は自然の恵みを戴く為に神々に「祈願」をし、戴いた恵みに「感謝」をする神々への「祈り感謝と喜び」をあらわしています。

石垣金星

祭りから

私が初めて西表島に行ったのは何年か前、石垣ご夫妻から「シリ祭り」を見学するご縁をいただいた時だった。 その祭りは、海の彼方から神様をお招きし村の方々の色々な料理や芸能を奉納し、共に新年を祝い幸せを祈るセレモニーである。 それはかつて、生活感の確信のようなものを見せてもらったバリ島や、心惹かれるアメリカインディアンの祭りと同じ質のものだった。 国家というシステムではなく、そこに住まう自然の生態系と共にある質のものだ。 美しい海岸を舞台に繰り広げられる唄や踊りに、料理に、衣装に、祭りを続けてゆくことが村の生活文化を維持してゆくことであると言う皆の信念を見た思いがした。 祭りの前夜、公民館で見た光景を思い出す。 にわかに始まった踊りの練習の輪のなかで、小さな女の子がまわりの大人たちと全く同じ手のしなで、仕草で踊っている。 伝統芸能のしなや仕草を通じて人は先祖や子孫と通じていられるのではないだろうか、と私には感じられた。 その後、何度か訪れて金星さんから伺った島の話や西表の空気の中でのコラボレーションをとおしてこのアルバムが出来上がった。 この「音の種」が根を張り花を咲かせ、実を結びますように祈りつつ・・・

真砂秀朗

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